設計者インタビュー 設計者インタビュー

“動き不足”の時代に
輝きを放つバランス シナジー

育ちざかりの小学生から、長時間のデスクワークを強いられるオフィスワーカーまで、さまざまなシチュエーションで使われている「バランス シナジー」。その基本コンセプトや開発経緯について、バランスチェアの生みの親である設計者ハンス・クリスチャン・メンショール氏にインタビューしました。

バランス シナジーの開発背景

バランスチェアの発想を得たのは、いまから40年以上前。1970年代半ばにまでさかのぼります。当時、一般家庭でつかわれる家具のプロモーションなどをしていた私は、身体に負荷をかけることなく、長時間同じ姿勢をとっても痛みを感じないような椅子を探していました。

そこで私は街に出ました。カフェでコーヒーを飲むビジネスマンや、笑顔でランチを楽しむファミリー、教室で授業を受けている子供たちなど、年代・性別を問わず、さまざまな人の座り方を参考にしてバランスチェアのアイデアを膨らませていったのです。

そんな中、赤ちゃんが座っているのを見てヒントを得ました。
赤ちゃんは、地面にぺたんと座っている時、身体の中心に重心がかかり背筋が自然に伸びています。
それと同じように、身体の重心を感じながら座ることのできる椅子なら、背筋が自然と伸びるのではないかと考え、研究を重ねました。
その結果誕生したのがバランス シナジーの設計・デザインです。
時代とともに進化を続けるバランスチェアのなかで「バランス シナジー」を通じて私が目指したのは赤ん坊のころから人にそなわっている自然な力をサポートすることです。

バランス シナジーの開発背景 バランス シナジーの開発背景

設計のこだわり

バランス シナジーの可動域は数度のみ。座っている人からすると、前後もしくは左右に30~35mmほど動くことになります。座ると身体が自然と傾き、中心に戻り、また傾くという動きが繰り返されることになります。

この「連続した動き」であるということと、「重力方向に垂直に座る」ことがバランス シナジーの最大のポイントです。安定と不安定、リラックスと負荷を感じる状態が連続することで、人間の内側にあるバランス感覚を呼び覚ますことを意識しました。

いま私たちが暮らしているのは、かつてなく「人が長く座っている時代」です。デスクワークが多い人だと、1日の大半を座ることに費やしているでしょう。それであれば、いまよりもっと座り方、そして立ち上がり方に意識を向けてもよいのではないでしょうか。

人の身体は長時間座ってすごすようにはできていません。運動不足ではなく「動きの不足」に注目し、バランス シナジーに座ることで身体が必要とする“オン・オフ”にぜひ気づいてほしいと思います。

設計のこだわり 設計のこだわり

「Made in Japan」を選んだ理由

人との和、自然との共生を大切にしている日本には、「調和」や「バランス」といった考えが根づいていますよね。森や湖に囲まれ、自然と生活が密接に関わっているノルウェーと近しい部分を多々感じました。製品コンセプトを深く理解し、繊細な工夫とともにものづくりに取り組むSakamoto houseとのパートナーシップを通じて、そんな想いをさらに強めています。

バランスチェアは、ライフスタイルの変化によって抜け落ちてしまった部分を補完するプロダクトです。一人ひとりに合う椅子や、世の中に必要とされる椅子は違って当たり前。そのなかでバランス シナジーは、座り方を変えることで腰痛でお悩みの方々が健康を手に入れたり、仕事や勉強の集中力をさらに高めていきたい方々に届けばいいと思っています。

バランス シナジーを通じて、そうした想いが一人でも多くの方々の“いつもの暮らし”に寄り添うことができれば、これ以上うれしいことはありません。

ハンス・クリスチャン・ メンショール

ハンス・クリスチャン・
メンショール

Hans Christian Mengshoel

1946年ノルウェー出身。バランスチェアの生みの親として、コンセプト設計、デザイン、マーケティングにいたるまで、広くプロダクトの開発を手がける。